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Archive No.000 / 佐賀 ― あの日の佐賀らーめん

3,500食を、
出荷しませんでした。

商品にならなかった味の、9ヶ月と2回の記録。

記録のみ / 商品化には至りませんでした

あの日の佐賀らーめん
9ヶ月 スープ開発にかけた時間
2,000食 発表会から1週間の予約
3,500食 出荷を取りやめた1回目
全額ご予約分の返金

銘店の味アーカイブの最初の挑戦は、わたしたちのソウルフードである佐賀ラーメンでした。

結果から書きます。商品にはなりませんでした。それでも、この9ヶ月に起きたことを残しておきます。成功したものだけを並べる棚は、記録とは呼べないと思うからです。

01

なぜラーメンから始めたのか


コロナ禍以降、飲食店が次々と閉じていきました。地域から愛された「銘店」の味が、今この瞬間も失われています。その味を後世に残したい。そう考えて立ち上げたのが「銘店の味アーカイブ」です。

第一弾に選んだのは、わたしたちのソウルフードである佐賀ラーメンでした。老舗の佐賀ラーメン店とともに、レシピの再現に挑みました。

プロジェクトについて

02

9ヶ月かけた、スープのレシピ


ラーメン屋のスープは、寸胴でぐつぐつと煮出してつくります。しかしわたしたちは、全国へ、そして世界へ届けることを最初から目的にしていました。そのため、地元のスープ製造会社への委託製造という形で開発を始めました。

ここに、最初の壁がありました。

大量生産では製造方法がまったく違うため、同じレシピでも同じ味にならない。毎週集まっては試作し、また集まる。それを繰り返しました。

色味の異なる4種類の試作スープ
レシピを製造している途中。骨によって色味も風味も異なるため、そこから調整していくのに苦労した。

レシピが固まるまでに、9ヶ月かかりました。

03

レトルトという選択


次の問いは、「どうすればどこへでも持ち運べるか」でした。たどり着いた答えが、常温で長期保存できるレトルトです。

ストレートスープのまま
薄めずに、そのままの味を届けられる。
流通が軽くなる
冷凍にくらべ、流通コストも管理の手間も減らせる。
海外へも持って行ける
お土産としてラーメンを持ち帰ることもできる。

そもそも「レトルトのラーメン」というジャンルは存在しませんでした。新しいジャンルの最初の一本になれるかもしれない。そう考えていました。

製造したレトルトのストレートスープ
製造したレトルトのストレートスープ。半年以上も常温で保存が可能に。

100食ほどの試作を何度も重ね、味のぶれを微調整し、「おいしい」と言えるレトルトスープにたどり着きました。

04

2,000食の予約と、確かな手応え


2025年2月25日、サガテレビでメディア・銀行・行政の方々を招いて発表会を開きました。完成したラーメンを召し上がっていただき、味も好評をいただきました。

その日から予約を開始し、1週間で約2,000食。間違いない、と思いました。

2025年2月25日の新商品発表会
2025年2月25日の発表会
佐賀新聞に掲載された記事
佐賀新聞に掲載

レシピは完成。試食の評価も上々。
予約も想定以上。

7月の発売は問題ない。あの日は、そう確信していました。

05

1回目 ― 3,500食での挫折


パッケージも食品表示も整い、2025年7月の発売に向けて、予約分とプロモーション用を合わせた3,500食の初回製造に踏み切りました。

企画と販売を担う FoodStock、スープ製造を担う地元メーカー、レトルト化を担う工場。3社での挑戦でした。

レトルト工場にとって「液体スープの大量レトルト化」は初めての試みでした。稼働中に機械トラブルが発生し、数時間にわたって停止。その間にスープが劣化し、味と香りに影響が出ました。

できあがった商品を確認すると、ロットごとに味のブレが顕著に出ていました。非常においしく仕上がったものもあれば、塩辛さだけが強く、豚骨らしい旨みが感じられないものもありました。

この状態では、お客様に届けられない。

出荷中止を決めました。

06

原因を、最後まで突き止める


関係各社で、徹底的に原因を洗い出しました。

01

ロットを制限する

量産のロットを制限し、機械トラブルが起きたときの影響範囲を最小限にする方針を固めました。

02

撹拌と滞留時間を見直す

骨から溶け出した髄や成分は比重が異なるため、タンクの中で濃い層と薄い層ができます。撹拌が足りないと、充填のときに濃度差がそのまま出てしまう。強度とタイミング、充填までの滞留時間の管理を見直しました。

03

冷却工程を設計し直す

油分が固まって沈まない温度帯と冷却速度を設定し直しました。工程間の引き継ぎ手順も標準化しました。

再挑戦の準備は、整ったはずでした。

07

2回目 ― 1,500食でも残った課題


規模を抑えた約1,500食で、もう一度挑みました。工程管理を強化し、機械トラブルは回避できました。

しかし完成品を試食すると、味のブレは残っていました。満足できるロットがある一方で、別のロットでは塩辛さだけが際立ち、豚骨らしい風味がほとんど感じられませんでした。

改善の兆しは見えました。それでも根本的な解決には程遠く、いつ完成にたどり着けるのか、目処さえ立ちませんでした。

08

販売中止と、全額返金


最後まで悩みました。けれど、ご予約いただいたお客様をいつまでもお待たせするわけにはいきません。完成の見通しが立たない以上、責任をもって7月の発売を中止し、ご予約いただいた全員に返金することを決めました。

多くのお客様から、励ましの言葉をいただきました。お振り込みいただいた商品代金を、そのまま寄付してくださった方も少なくありませんでした。

こんなにも応援していただいていた。

本当に悔しい中で、それが励みになりました。この場をお借りして、お礼を申し上げます。

Timeline

できごとの記録


2025.02.25サガテレビで発表会。メディア・銀行・行政の方々をご招待
2025.03発表会から1週間で約2,000食のご予約
2025.061回目の量産 3,500食 ― 機械トラブルにより出荷中止
2025.06原因究明。撹拌・滞留時間・冷却工程を再設計
2025.072回目の量産 1,500食 ― 味のブレが残る
2025.07発売中止を決定。ご予約者全員へ返金を完了
完成していた『あの日の佐賀らーめん』のパッケージ
形になっていたパッケージ。3種類つくり、店ごとの味を並べる予定だった。

Supported by

ご協力いただいた企業・団体


商品としてお届けすることはできませんでしたが、残った在庫は廃棄せず、この挑戦に共感してくださった企業・団体のご協力により、実際に召し上がっていただきました。心より御礼申し上げます。

佐賀県内地域金融機関の社員食堂
佐賀市佐賀県庁 SAGA CHIKA 様
佐賀市がばいさが子供食堂 様

09

力を貸してくださる方へ


わたしたちは、全国の愛されるラーメンの味がアーカイブされた未来を思い描いています。けれど、自分たちだけでは力が足りません。

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天山から見た佐賀平野
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